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米国政府とFRBは金融危機に陥った際に迅速に大規模な財政出動と金融緩和に踏み切ったにもかかわらず、実質GDPの水準は金融危機前のピークを回復できておらず、失業率も9%を超える高水準が続くことは、大きな金融危機後の経済低迷に際し、通常の景気後退時の政策対応をただ規模を大きくして実施すればよいという考え方に反省を迫るものだ。
財政赤字の規模が限定的で、好況時の税収の自然増で賄える範囲とみられていれば、不況時の積極的財政政策は確かに有効だろう。
積極的財政政策を大規模化し、それに伴い財政赤字が膨大になった場合、財政赤字の累積額が膨張してくると、次第に無視できなくなり、家計や企業の多くが財政の持続可能性に危惧を抱いたり、将来の増税の可能性を織り込んだりするようになる。すると、民間部門が支出を控えて貯蓄を増やすといった防御的行動をとる可能性が出てくる。したがって、たとえ不完全雇用状態にあっても、クラウドアウトは生じかねない。
積極的財政政策の効果は、その規模に比例して増大するものではなく、徐々に逓減して、ついには負にさえなり得ると考える。
金融政策についても、目標としている短期金融市場金利に低下の余地がある間は、一定の効果が期待できる。しかし名目金利はゼロ未満に下げられないという制約に達すると、追加的な効果はほとんど望めなくなる。ゼロ金利下でさらに緩和効果を追求するために、いわゆる非伝統的な金融政策が導入されるようになっているが、それほど大きな効果は見込めない。
金利がゼロになると、中央銀行の提供するベースマネーは、短期国債と実質的に同等物となってしまう。それゆえ、中央銀行がいくら長期国債を買い上げても、長期国債と短期国債を入れ替える程度の効果しか持てなくなる。
要するに、ゼロ金利に達するまでは規模に比例した効果が期待できても、ゼロ金利に達した以降は効果は著しく低下する。
財政政策も金融政策も拡大するほど効果が生じるというものではない。
大きな金融危機の後の経済低迷が深刻なものとなりがちな主な理由の一つは、危機に先行する時期における民間部門の強気の将来見通しが、危機を契機に一転して極めて弱気なものに転換することである。
弱気の将来見通しが支配的になると、資産価格の低下を招き、危機に先立つ強気の時期に積み上げられた負債とあいまって、過剰債務問題が生じる。過剰債務を抱えると、少しでも減らそうとして、借金返済を優先して支出を切り詰めようとする。
過剰債務を解決することが、危機の後始末としては最も必要なことである。さらに再出発を果すには、民間部門の自信の回復が不可欠だ。
とはいえ、政府が民間部門の自信を直接持ち上げられるわけではない。政府は、景気に悪影響を与えるからといって増税を先送りすることは、むしろ景気回復を遅らせかねない。
逆にいうと、増税が実施されても、財政の持続可能性の回復につながり、将来の見通しを曇らせている大きな要因の一つが除去されるのであれば、民間部門の自信の修復に寄与する。
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財政赤字の規模が限定的で、好況時の税収の自然増で賄える範囲とみられていれば、不況時の積極的財政政策は確かに有効だろう。
積極的財政政策を大規模化し、それに伴い財政赤字が膨大になった場合、財政赤字の累積額が膨張してくると、次第に無視できなくなり、家計や企業の多くが財政の持続可能性に危惧を抱いたり、将来の増税の可能性を織り込んだりするようになる。すると、民間部門が支出を控えて貯蓄を増やすといった防御的行動をとる可能性が出てくる。したがって、たとえ不完全雇用状態にあっても、クラウドアウトは生じかねない。
積極的財政政策の効果は、その規模に比例して増大するものではなく、徐々に逓減して、ついには負にさえなり得ると考える。
金融政策についても、目標としている短期金融市場金利に低下の余地がある間は、一定の効果が期待できる。しかし名目金利はゼロ未満に下げられないという制約に達すると、追加的な効果はほとんど望めなくなる。ゼロ金利下でさらに緩和効果を追求するために、いわゆる非伝統的な金融政策が導入されるようになっているが、それほど大きな効果は見込めない。
金利がゼロになると、中央銀行の提供するベースマネーは、短期国債と実質的に同等物となってしまう。それゆえ、中央銀行がいくら長期国債を買い上げても、長期国債と短期国債を入れ替える程度の効果しか持てなくなる。
要するに、ゼロ金利に達するまでは規模に比例した効果が期待できても、ゼロ金利に達した以降は効果は著しく低下する。
財政政策も金融政策も拡大するほど効果が生じるというものではない。
大きな金融危機の後の経済低迷が深刻なものとなりがちな主な理由の一つは、危機に先行する時期における民間部門の強気の将来見通しが、危機を契機に一転して極めて弱気なものに転換することである。
弱気の将来見通しが支配的になると、資産価格の低下を招き、危機に先立つ強気の時期に積み上げられた負債とあいまって、過剰債務問題が生じる。過剰債務を抱えると、少しでも減らそうとして、借金返済を優先して支出を切り詰めようとする。
過剰債務を解決することが、危機の後始末としては最も必要なことである。さらに再出発を果すには、民間部門の自信の回復が不可欠だ。
とはいえ、政府が民間部門の自信を直接持ち上げられるわけではない。政府は、景気に悪影響を与えるからといって増税を先送りすることは、むしろ景気回復を遅らせかねない。
逆にいうと、増税が実施されても、財政の持続可能性の回復につながり、将来の見通しを曇らせている大きな要因の一つが除去されるのであれば、民間部門の自信の修復に寄与する。
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日本の国力が他国に比して落ちている原因は、外需依存型の産業構造の転換が遅れ、新興国と競う形でわが国の技術や製品の優位性が徐々に薄れてしまったことだ。また、労働市場が硬直化していることで正規社員の高齢化が進み、新規雇用者の参入を阻んでいる。
民主党政権はバラマキ型の経済政策が好きで、財政支出で東日本大震災の復興が実現すると思い込んでいる。むしろ、特区制度などの規制緩和を優先した方が民間の活力をうまく活用でき、財政悪化も最低限に食い止められる。
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民主党政権はバラマキ型の経済政策が好きで、財政支出で東日本大震災の復興が実現すると思い込んでいる。むしろ、特区制度などの規制緩和を優先した方が民間の活力をうまく活用でき、財政悪化も最低限に食い止められる。
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20年間、日本は不況脱出のために積極的な財政金融政策を採り続けたが、名目GDPは逆に減少した。もはや伝統的なケインズ政策は効かなくなったのだ。欧米経済もこれから日本と同じ道をたどる可能性が高い。
「成長のためのフロンティア」が消滅したことが、先進国経済低迷の根本的原因である。
当面、日本は欧米ほど危なくはないということなので、円高は当分続くと見なければなるまい。
円高を悲願するのではなく、これを積極的に活用する発想を持つことだ。欧米経済の深刻な状況を考えれば、多少の為替介入や日銀の量的緩和政策で為替レートを円安に戻すことなど、ほとんど不可能に近い。
たとえば、円高によって安価になった海外資産(企業)をM&Aによって積極的に取得し、日本企業が本格的なグローバル経営に乗り出すという発想である。
第2に、医療・介護・福祉・教育・文化などの分野で最先端の商品・サービスを開発するという発想を持つことだ。
従来、若者向け輸出商品の開発に集中してきた日本企業の経営努力を、高齢者向けの商品・サービスの開発に振り向けるのである。
第3に、環境技術や再生エネルギー技術に磨きをかけ、日本が世界になくてはならない国になることだ。
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「成長のためのフロンティア」が消滅したことが、先進国経済低迷の根本的原因である。
当面、日本は欧米ほど危なくはないということなので、円高は当分続くと見なければなるまい。
円高を悲願するのではなく、これを積極的に活用する発想を持つことだ。欧米経済の深刻な状況を考えれば、多少の為替介入や日銀の量的緩和政策で為替レートを円安に戻すことなど、ほとんど不可能に近い。
たとえば、円高によって安価になった海外資産(企業)をM&Aによって積極的に取得し、日本企業が本格的なグローバル経営に乗り出すという発想である。
第2に、医療・介護・福祉・教育・文化などの分野で最先端の商品・サービスを開発するという発想を持つことだ。
従来、若者向け輸出商品の開発に集中してきた日本企業の経営努力を、高齢者向けの商品・サービスの開発に振り向けるのである。
第3に、環境技術や再生エネルギー技術に磨きをかけ、日本が世界になくてはならない国になることだ。
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震災後の計画停電の混乱に見られるように官の統制を強めれば経済が成長するとは思えない。
新自由主義の復権を提唱したい。モノは余っているがサービスは不足している。規制緩和し民間企業を入れることで、成長の種はいくらでもある。
被災者に一律に支援して、仕事があるところに移る人と残る人が同じ立場で選択できるようにすればいい。何も東京や大阪に移らなくても、同じ県内の都市部に移れば仕事がある。県内にコンパクトシティを作っていけばいい。
新自由主義という思想には、あまりに誤解が多い。例えば、市場原理主義など存在しないのに、日本では、それが新自由主義と同じことのように言われている。政府が要らないとか、環境を破壊してもいい、所得格差が広がってもいいと言っているのというのは決めつけだ。サッカーに例えると、企業や消費者が選手で審判が政府だ。良い試合をするには良い審判が必要だ。日本の政府は、悪い審判で、やたらにファウルをとったりレッドカードを出して試合の面白みを損ねてしまう。良い審判とは、できるだけ試合を円滑に運ぼうと努力するものだということを言っているのだ。
織田信長の楽市楽座のように、日本には昔から市場を大切にする伝統があった。平清盛は福原に遷都して、自由な貿易で国を富まそうとした。日本ほど、戦後の自由貿易体制の恩恵を受けている国はない。グローバル化は日本の重要な伝統である。
民主党政権になってから、これまでの2人の首相は社会主義的だった。これではダメだという機運はかなり強まっているのではないか。
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新自由主義の復権を提唱したい。モノは余っているがサービスは不足している。規制緩和し民間企業を入れることで、成長の種はいくらでもある。
被災者に一律に支援して、仕事があるところに移る人と残る人が同じ立場で選択できるようにすればいい。何も東京や大阪に移らなくても、同じ県内の都市部に移れば仕事がある。県内にコンパクトシティを作っていけばいい。
新自由主義という思想には、あまりに誤解が多い。例えば、市場原理主義など存在しないのに、日本では、それが新自由主義と同じことのように言われている。政府が要らないとか、環境を破壊してもいい、所得格差が広がってもいいと言っているのというのは決めつけだ。サッカーに例えると、企業や消費者が選手で審判が政府だ。良い試合をするには良い審判が必要だ。日本の政府は、悪い審判で、やたらにファウルをとったりレッドカードを出して試合の面白みを損ねてしまう。良い審判とは、できるだけ試合を円滑に運ぼうと努力するものだということを言っているのだ。
織田信長の楽市楽座のように、日本には昔から市場を大切にする伝統があった。平清盛は福原に遷都して、自由な貿易で国を富まそうとした。日本ほど、戦後の自由貿易体制の恩恵を受けている国はない。グローバル化は日本の重要な伝統である。
民主党政権になってから、これまでの2人の首相は社会主義的だった。これではダメだという機運はかなり強まっているのではないか。
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