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 日本の厳しい財政事情を考えれば、一定の増税から逃げることはできない。だが11.2兆円の規模が必要かどうかについては再検証の余地がある。住宅の移転や漁港の集約といった優先順位の高い復興事業を選び、個人や企業の負担増をできるだけ抑えなければならない。
 政府保有株の売却益や特別会計の埋蔵金をある程度活用するのはやむを得ない。税外収入を積み上げ、増税の規模を当初の13.2兆円より圧縮したのは妥当だろう。
 しかし、歳出の削減を上積みするのがおろそかになっているのではないか。民間の資金をインフラ整備などに生かす工夫が見えないのも遺憾である。
 こうした努力を続けても足りない財源を復興債で調達し、将来の世代に恩恵が及ばない事業の償還費用を増税で手当てすべきだ。
 所得税と法人税の増税には、被災地を除きやすいという利点がある。ただ所得税の納税者は5000万人に満たないとみられる。首相が10年を基本にするとした定率増税の負担が中高所得層に偏りかねない。
 法人課税については国税と地方税の実効税率(約40%)を5%引き下げたうえで、3年間の定率増税を課すという。差し引きでは若干の減税だが、経済の活性化という政策課題との整合性が気になる。
 そうした不安をぬぐい去るためにも、日本経済全体を底上げする成長戦略の実行が欠かせない。政府・与党は自由貿易や規制緩和の推進などに取り組み、個人の所得や企業の投資を増やす必要がある。



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