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 100兆円近くの予算はとうてい組めない。無駄な歳出を徹底的に絞り込み、国債の増発をできるだけ抑える必要がある。
 11年度当初予算の一般会計総額は92.4兆円に膨らんだ。新規国債の発行額が2年連続で税収を上回るという異例の事態である。こんな予算編成を続けられるはずがない。南欧の危機をみれば、財政の悪化が深刻な状況を招くのは明らかだ。
 12年度予算案に盛り込む経費のうち、臨時増税で賄えるのは大震災の復興費だけである。11年度当初予算並みの税収や税外収入を確保するのも骨が折れるだろう。それなら歳出を切り詰めるしかない。国債の償還費を除く歳出71兆円以下、国債発行を44兆円以下に抑える目標を少なくとも堅持してもらいたい。
 まずは復興費の精査が必要だ。上限を設けない「青天井」の要求額は3.5兆円に達した。住宅の移転や漁港の集約、学校の除染に充てるならいいが、被災地の復興とは直接の関係のない防災対策や施設整備も紛れ込んでいるようにみえる。
 政府は今後5年間の復興費を19兆円と見積もった。今回の要求をすべて認めると、11年度の3度にわたる補正予算と12年度予算でほぼ使い切る計算となる。臨時増税の規模が膨らまないようにするためにも、本当に必要な事業を選ぶべきだ。
 政治主導で予算を組み替え、歳出の中身にメリハリをつけるうえで、特別枠を設定するのは有効だろう。事業の重複やつけ替えを避け、新産業の育成やエネルギーの安定供給、超円高への対応に役立つ予算を確保しなければならない。
 一般会計総額の3割を超える社会保障費も聖域にすべきではない。1.2兆円の「自然増」を容認したままでは、歳出の抑制はおぼつかない。地方交付税も例外ではない。一層の効率化に努める必要がある。
 子ども手当や高校無償化などの見直しも急いでほしい。



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