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 日本が、経済成長を維持するには外需頼みを脱し、自ら戦略を生み出す新たな戦略を考える必要があります。
 しばしば「経済成長さえすれば、増税しなくても財政は改善する」という人がいますが、これに賛同できません。海外の競争相手の力も増す中、高い成長をそう簡単に実現できるものではありません。一方、「財政再建は経済にマイナス」というのも間違いです。年金制度改革などを通じた国民の負担軽減など、税・社会保障一体改革を推進しながら、成長を底上げする方策はいくつもあります。
 その土台になるのが成長戦略です。TPPなど貿易自由化への対応や、生産性向上の障害となっている規制の撤廃も必要です。規制を緩和する特区制度などを活用すれば被災地を風力発電の基地にすることも可能です。
 同時にデフレ脱却も進める必要があります。デフレの一因となっている行き過ぎた円高に歯止めをかけることが重要です。為替介入を含めた政府の大胆な円高対策と、日銀による一層の金融緩和策を組み合わせない限り対処は難しく、政府・日銀の政策協調にも期待したいと思います。
 岩田一政は、9月1日の日経新聞にも出ていました。



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 安住財務相には、したたかな通貨外交が求められる。円高是正は待ったなしで、為替介入では欧米への協調介入を働きかけてほしい。
 復旧・復興のため発行する復興債の復興財源も焦点だ。「増税ありき」では景気を冷やしかねない。無駄な歳出を徹底して見直すのはもちろん、成長戦略を通じて企業活動を後押しし、税収を増やす政策が求められる。
 成長戦略で重要な柱は、TPPへの参加である。
 米国は11月にハワイで開くAPEC首脳会議までに、参加を表明している9カ国による協定交渉を終える方針だ。野田政権に躊躇している時間はない。






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 日本の経済外交の柱である通商政策がいま、その危機に直面している。TPP交渉への参加表明が、大幅に遅れているからだ。
 11月のAPECを逃すと、日本の交渉参加は難しくなるだろう。
 日本のTPP参加についても、米政府・議会内で消極論が強まるのが心配だ。
 外国企業の参入を促す規制改革も遅れている。EUやASEANにも、日本を「保護主義国」とみなす声があることを忘れてはならない。
 経済大国の日本と米国が関係を深めれば、刺激を受けて欧州やアジアも動き出す。その波のうねりが、中国に市場開放と貿易ルールの順守を促すテコになる。日本のTPP参加でこうした連鎖が起きる外交力学を日本自身が自覚し、活用しなければならない。
 日本が経済成長を続けるためには貿易や投資で、海外の力を国内に取り込む必要がある。TPPはそのための重要な土台となる。野田新首相は日本への期待といら立ちが交じる海外の声に耳を傾け、交渉参加の意思を一刻も早く表明すべきだ。






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 野田佳彦新首相は歳出の削減に取り組む強い姿勢も必要だ。社会保障費の自然増は放置できない。消費税を5%上げるだけでは足りず、中長期的に税率20%台を覚悟しないといけなくなる。
 民主党は所得制限なき子ども手当のように、ばらまきに偏りがちだ。
 社会保障と税の共通番号を整える。新たな保険料積立制度の導入などで若い世代に過重な負担が及ばないようにすべきだろう。年金にも財政負担拡大の歯止めに必要だ。国が際限なく面倒を見るような方向に守備範囲を広げてはならない。
 民間より高めの地方公務員給与を削れば歳出を数兆円減らせる。
震災復興費は国債で調達し、財源は増税で賄う。税率を変えるだけで増収になる所得税や法人税を充てればよい。償還年限を10年以上に伸ばせば国民の負担感も和らぐ。社会保障は広く薄く負担を求める消費税が適している。歳出削減を徹底し、必要な資金は消費増税で賄うのが当然だ。





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 TPPなど経済統合の取り組みにより貿易や投資の自由化を進めると同時に、その障害になる国内の規制を緩和する。成長率底上げへの最優先テーマだ。
 特区方式で再生エネルギーのプラント建設の際の法人税や固定資産税を免除するといった手もある。被災地を風力発電の基地にするのがいいだろう。
 政府の円売り介入政策と、それをサポートする金融政策という組み合わせは、デフレ脱却に有効だ。
 アジアに現地需要に合わせた研究開発機能を置く。成果は国内の研究開発にも生きる。TPPはそんな相乗効果を後押しするだろう。企業のグローバル化を悲観する必要はない。





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