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 空洞化を止める政策は急務だ。経済の実力とかけ離れた円高対策をはじめ、出遅れたFTAの締結、法人税減税など税制の見直しはもっと踏み込んで方向付けをすべきだ。
 東南アジアや韓国に投資が向くのは、そこで立地することで日本より進んだFTAを活用するためだという。こうした流れを是正するならTPPへの参加は迷っている余裕はない。
 一方で、製造業の流出を止めるわけでは不十分だ。過当競争に陥る分野は縮小や生産委託も考える。さらには国内に新たな事業を興し、産業構造を変えながら雇用を増やす努力が必要だ。
 重要なのは世界で稼ぐ力を取り戻すことだ。世界で稼ぐことができれば、海外で得た利益を日本に還流できる。
 日本企業は米欧勢よりグローバル化に遅れて稼ぐ力が劣っている。
 企業買収を通じ、円高を、稼ぐ力をつける好機にしようとの動きである。
 世界で稼ぎ、国内に再投資する循環をつくれば空洞化を脱する道筋も見えてくるだろう。



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 具体的な課題は既に明らかだ。財界や企業経営者たちは、円高に加え、高い法人税率、FTAの立ち遅れ、電力不足、製造業の派遣禁止、温室効果ガス排出量の25%削減目標を「6重苦」として、その是正を切実に訴えている。首相はこうした企業側の苦悩にどこまで真剣に耳を傾けているのだろうか。
 さらなる空洞化の回避には、内外企業が日本立地を求め、常に技術革新が生まれるような経済環境を再建するしかない。野田政権はその第一歩として、TPP参加を決断し、定期検査中の原発を一刻も早く再稼働させるべきだ。



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 日本企業に外に出て行くなということはできない。日本市場は少子高齢化で市場規模は縮小しつつある。企業が成長しようと思えば、海外とりわけ成長著しいアジア市場を取り込む必要がある。
 こうした日本離れに問題があるのは確かだが、悲観的にとらえず前向きに考える必要がある。海外流出と考えずに、海外に飛躍の契機を求めての行動と見るべきであろう。力がある企業は海外進出のチャンスをためらうべきでない。
 日本市場の規制緩和を進め透明度、開放度を高める。そして、企業活動のコストを低くしていくのである。法人税も日本企業のライバルであるアジア企業の本国並みに大胆に引き下げていくべきだ。
 輸入も輸出も両建てで増やし日本経済にダイナミズムを取り戻す仕掛けがTPPである。早急に参加を決定すべきだ。
 欧米でも空洞化が問題になっているが、かの地では流入する外資もある。日本は流出だけの一方通行だ。とことん手当てを尽くして日本を内外企業が立地したくなる国にする。空洞化対策はそういうものでなければならない。



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 国内経済の空洞化が懸念されている。企業活動が海外に移るとその分、国内の所得創出・雇用機会が失われてしまうという議論である。その気持ちはよく分かる。しかし、次のようなプラス面を考えてみてはどうか。
 第1は、企業活動のグローバル化である。空洞化が心配だからといって国内企業のグローバル化を止めることは、日本企業の成長可能性に枠をはめることになる。
 日本企業の海外進出を抑え込もうとするよりは、海外企業の日本進出を促進すべきではないか。そうすれば、グローバル化の流れを促進しつつ、国内経済の空洞化を防ぐことができる。
 第2に、ある程度の空洞化は必要である。今後の長期的な日本経済の先行きを考えると、一方では労働力が足りなくなり、他方では、医療・介護・福祉などの新たな需要が出てくる。すると、ある程度は活動拠点を海外に移し、それによって浮いた分を新しく伸びてくる分野に振り向けなければならなくなる。
 第3は、制度間競争を活発化させることだ。そのためには企業が活動しやすい制度的環境の整備が必要だ。税制、金融規制、各種参入規制などがそれである。
 もちろん日本もそうした制度間競争の渦中にある。結果的に、企業が活力を発揮しやすい環境整備につながるだろう。出て行こうとする企業を、出ていかないよう説得するのではなく、企業が進んで国内にとどまるような環境整備を図るべきである。
 海外投資を呼び込み、国内の資源の流動性を高め、制度間競争に応えていけば、空洞化の脅威を経済の活性化に結び付けていくことができるのではないか。



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 企業がものづくりの拠点を海外に移す動きが増えてきた。
 自動車業界では今年、海外への設備投資が国内投資の2倍に増える見通しだ。1ドル=80円を超す円高が続くことにいら立ちが募り、「日本では働けど働けどいっそうに報われない」などと話す経営者が多い。
 空洞化の回避には円高対策だけでは不十分だ。再び投資を国内に向かわせるような、政策のパッケージが要る。
 TPPはもちろん、FTAの遅れを取り戻すには日中韓の協定も大事だ。法人税減税や産業競争力の強化をにらんだ電気料金の設定、労働規制の見直しも一体的に進めたい。



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