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 円高を嘆いてもどうにもならない。企業に求められることは、この円高を利用して将来に向かって競争力を高めるための手を積極的に打っていくことだ。そこで注目されるのが、日本企業による海外への積極的な投資の動きである。円高がこうした海外投資を後押ししていることは間違いない。
 この20年、企業は積極的に投資するよりは、リストラを進め、余った資金はいざというときのための内部留保として抱え込んでしまうのだ。こうした企業の消極性が日本経済の低迷の原因ともなっていた。
 今回の円高の動きは、経営者の目を覚ます強烈な劇薬となりそうだ。今この時期に積極的に海外展開を進めないかぎり、その企業の将来はない。じっと待っていれば、どこかの時点で円高から円安に変わっていく局面はあるだろう。しかしそれまで企業が何もしないでじっと守りの姿勢を貫いていれば、日本企業の国際競争力はますます弱ってしまう。
 積極的に海外展開をして国際競争力を強めていくことが企業の行うべきことである。地域の雇用を守り、新たな産業を育てていくことは政府の役割であるからだ。
 海外から日本への投資を促進する政策の遂行、産業の活性化を促すような規制緩和、自由貿易協定・経済連携協定の推進など、日本政府が行うべき経済活性化策の中身は明らかだろう。政府も成長戦略という旗印の下で、こうした政策を進めようとしていたが、大震災以来その動きが止まってしまっている。今こそ、成長戦略のアクセスを踏む時期である。企業がその存続をかけて海外展開を進めるほど、国内経済活性化のための政府の成長戦略の重要性が高くなっていくのだ。



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 ここは、円高のプラス面を生かしてグローバル化を進め、その果実を国内に還元していく「拡大均衡」を目指したい。
 今年の経済財政白書も、海外展開の拡大を考える企業は国内雇用も拡大させる傾向があると指摘している。海外拠点を支えるには国内でも人材の強化が必要だからだと見られる。
 政策面でも、海外投資や人材育成などを支援し、拡大均衡への流れが幅広く進むよう努めるべきだ。

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